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精神障がいの方へのヨーガ
多機能型事業所ルーチャ/就労継続支援B型事業所プエンテ(八王子)でのヨーガプログラム。
こちらは精神障がいがある方を対象にした訓練施設(行政から指定を受けている施設)です。
第二回目は、統合失調症、広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、不安障害、強迫性障害、双極性障害、適応障害の方々が参加されました。
計9名。初参加の方がほとんどでした。
このヨーガ・プログラムは、プエンテスタッフの方々(2名)もサポートに入っていただき、プログラムをつくっていきます。
事前に、大神田さん(プエンテ管理者)と綿密な打ち合わせをし、参加者一人一人の状態を把握し、起こりうるハプニングについての対策を考えました。
今回のテーマは〝安心感の確保〟 「どうしたら参加者の皆さんが余計なことを考えずに、安心して、ヨーガに没頭できるか?」を念頭に置き、それぞれの役割をきめ、フォロー体制を考え、本番にのぞみました。
テーマは安心感の確保
当日のヨーガ・プログラムでは、身体を痛めて思うように動けない方、途中気分が悪くなってしまった方、疲れて動かなくなってしまう方もいて、心配が募る場面もありましたが、全体的にフォローもゆきとどき、良い感じにヨーガが出来たと思います。
とても好評でした。
ヨーガ後のフィードバックタイムでは、一人一人にコメントをいただきましたが、しっかりと自分の言葉で、具体的に感想を言っていただき、とても嬉しかったです。
今回のプログラムの成功は、まさに〝安心感の確保〟が上手くいったからだと思います。
それは言い換えると〝安心感の創造〟といってよいかもしれません。
〝安心感〟とは、その場にいる人みんなで創造していくもののように感じました。
そしてもう一つ僕が実感できたことは、大神田さんの「精神障がいのある方には、安心した雰囲気、環境づくりがとても重要」という言葉(福祉的な考え/視点/価値観)と、〝ヨーガ実習の原則〟は、合致する部分が多いということです。
ヨーガ実習の原則とは
そういう意味でも、僕らの実践している伝統的ヨーガの方法は、精神障がい/疾患がある方にとても相性がよく、安心して取り組めるメソッドだと思います。
●他人と比べないこと
(→すごいラク)
●眼を閉じて行うこと
(→それにより外側の世界/日常から一時的に離れられるし、眼をあけてすごしている日常とは違う世界/非日常での経験になっていく)
●見た目のカタチは重視せず、自分の感覚と気持ちを大切に行うこと
(→ヨガはカタチ重視が一般的な認識だが、本来はそれとは異なるコンセプト/目的/効果→だからこそヨーガならではの経験/効果が起こる)
●自分の身体を丁寧に、大切にとりあつかって、気持ちよく行うこと
(→自分の心身を傷つけない/自分に暴力を振るわない) など、他にもあげたら色々とあります。
こういったヨーガ実習の原則は、福祉的な考え/視点/価値観の体現にもつながるのではないか?と感じました。
そして、この実習の原則を守ってヨーガをしていけば〝安心感〟が生まれてくる確率は高いと思います。
さらにアンケートも書いていただきました。
これを見ると皆さんが、体操/ストレッチ的にヨーガをしていたのではなく、もっと深い、本質的なところでヨーガをしていたことがわかります。
【ヨーガプログラム参加者アンケート(R3年9月29日分)】回答者:9名
Q:レッスンの満足度
・大満足 6 ・満足 3 ・普通 ・あまりよくない ・よくない
Q:レッスンの難易度
・とても難しい ・難しい 2 ・ちょうどいい 7 ・やさしい ・ものたりない
Q:ヨーガのやり方や指示やアドバイスは理解できましたか?
・理解できた 3 ・大体理解できた 6 ・あまり理解できなかった ・理解できなかった
Q:プログラムの時間の長さはどうでしたか?
・ちょうど良かった 8 ・長かった 1 ・短かった
Q:プログラムに安心して参加出来ましたか?
・安心できた 6 ・安心できなかった 1 ・普通 2
↓
<理由>
「安心できた」 (自由記述)
・前回参加させていただけたので、どんなものか分かっていたからだと思います。
・(講師が)プロと聞いて
・全体的に安心できた。中でも、足がつった時にすぐに声をかけて下さったので嬉しかった。
・瞑想等集中してできる部分が多かったから。
「安心できなかった」 (自由記述)
・肩の痛みがあるから
・体調が悪かったことと、スマホがなってしまったこと
Q:どこに効果を感じましたか?(複数回答可)
・よくわからなかった 0
・身体が軽くなった 7
・身体のこりが取れた2
・心が穏やかになった 7
・晴れやかな気分になった1
・頭がスッキリした 5
・気持ちが前向きになった3
・呼吸が落ち着いた 4
・別世界に行った0
・その他 1(眠くなった)
Q:ヨーガをやってみて、自分の好きな要素や、必要だった要素はありましたか? (自由記述)
・呼吸の要素
・寝っ転がるものと、肩回りのものは楽でありつつ気持ち良かった
・目をつぶってポーズをとるのがとても集中できた
・頭がスッキリしたところ、運動
・教えていただいた呼吸は心が落ち着く感じがしました
・ハミング(蜂の羽音の呼吸法)
Q:ヨーガをする前と比べて、気持ちにどんな変化がありましたか? (自由記述)
・すっきりした
・心がある程度前向きになった
・あれをやらなきゃ、これをやらなきゃ、などの焦り(?)が少し落ち着きました
・来る前は頭の中でゴチャゴチャ考えていたが心が落ち着いた
・肩こりが良くなった
・モヤモヤがなくなった
・心が軽くなった
・ヨーガをする前は、ヨーガは難しいイメージでしたがやってみるとできることが多くて良かったと思いました
Q:また参加したいと思いますか?
・はい 8 ・いいえ 0 ・わからない1
Q:その他、自由に意見を記載してください
・ヨーガめっちゃ良いな
・足首の痛みが悪化しないような、でも下半身が伸ばせるものがあると楽しみです
・先生の声に安心した。ハミングでリラックスするのは初めてで面白かった。ポーズを自分の心地よいところで止めるのが良かった。呼吸法をこれからも意識していきたい。
・今日は貴重な経験が出来て良かったです。ありがとうございました。
・ヨーガのイメージが変わりましら。これから家でやってみようと思いました。
Q:ヨーガをする前と比べて、気持ちにどんな変化がありましたか?」
・心がある程度前向きになった
・あれをやらなきゃ、これをやらなきゃ、などの焦りが少し落ち着きました
・来る前は頭の中でゴチャゴチャ考えていたが心が落ち着いた
・モヤモヤがなくなった
・心が軽くなった
以上です。
このアンケートを読むと、しっかりとヨーガならではの経験/効果を実感されていたことに大きな意味を感じます。
伝統的ヨーガは自律神経、脳機能、心への深いアプローチが可能
しっかりと瞑想の状態へ向かっていくようにヨーガをしていくと、このように心の領域にまでアプローチできます。身体に入った過緊張もとれ、自律神経系のシステムに安らかになり、頭がクリアになり、心が穏やかになっていきます。
本来のヨーガが持つポテンシャルは、筋肉だけではなく、自律神経/自律機能、脳、心の領域へ、心身総合的に働きかけるところにあります。
二回終えて、計20名ほどの人が参加しました。
今のところとても好評で、伝統的ヨーガの持つ要素(たんに形や柔軟性を追求してポーズをするだけはない)が、精神障がい/疾患のある方々にとても相性が良く、最適なものであることを確信しつつあります。
これからも一人でも多く、このヨーガの要素を必要としている人のもとに、このヨーガが届くことを願っています。